20数年前に山登りから足を洗ったが、3年前に「剣岳 点の記」を観て、早月尾根から剣岳に登ったのを思い出し、再び尖山から登り始めた。
しかし、恐怖ばかりがつのり、早月尾根にはなかなか行けなかった。
そろそろ雪が降る頃、今日が今シーズン最後のチャンスかもしれないし、かなり訓練も積んできたので出かけてみた。
あー酷かった、もう行くことはないだろう。
昔は針の山と言われていたそうだが、早月小屋より上は全般的にチクチクしている。
20数年ぶりの早月尾根、鎖がある岩場は断崖絶壁化が進み、危険度が増したような気がするが、たくさんの人が登っているのだから、慎重に歩けば何とかなる。
歩行距離17km、高低差2260m、上り7:10、下り5:40。
今日出会った登山者約30人。
1時過ぎに馬場島荘の駐車場に到着したらガラガラだった。
見上げると星が輝き、天気が良いことが分かる。
暗闇の中を歩くのは精神衛生上良くない。
熊鈴がよく鳴るように体の前につけたが、鈴の音だけでは愛想が無いので、NHKのラジオ深夜便でも聞きながら歩いたほうが良いかもしれない。
小屋に近づくにつれ富山平野の灯りがよく見える。
ここで小屋の主人が登場し、「そんなヘロヘロでは頂上までは行けないから引き返しなさい」と一喝されるかもしれなかったが、誰も現れず。
今日は前進しても良いとお墨付きをもらったような感じがして安心して出発。
2300mでストックをデポ。
帰りに通り過ぎてしまって回収に失敗。
風が強く寒いのでカッパの上着を着る。
いたるところに霜柱が立っていた。
この先3箇所ほど水平の鎖場があったが、1箇所だけ1本のか細い鉄筋を足場にしなければならないところがあり、そこだけはビビッた。
写真でもよく見かける別山尾根分岐の標識。
これが十字架に見えてしょうがない。
まるで墓標のようだ。
いったい、どれだけの人が、この山で亡くなったり行方不明になったりしたのだろう。
所詮、朝には紅顔ありて夕には白骨となれる身。
頂上に立ち、満面の笑みであっても、しばらくすればカニのヨコバイや北方稜線で姿を消していく。
誰も登れない、また登ってはならない針の山、地獄。
立山方面。
剣沢とはこんなに険しい所だったのか。
早月川と富山平野。
8時50分、下山開始。
この前登った朝日岳。
登山口近くの登山道には土のうが積まれているところがあるが、この上を歩くとクッションが効いて疲れた足に心地よい。
剣岳の諭。